インフルエンザで倒れていた間に、またイスラエルが空爆なんかしている。
まったくどうなっているんだ、と思いながら、病身でセコセコと大掃除を開始。すると、机の裏から、DVDが30本ほど。

「はて、何だっけ」

そう思って見てみた。

アフガニスタンの少年兵が出てきた。
十二歳ぐらいの、男児か、女児かもよくわからないような幼い子供が数人現れて、敵の捕虜の首を生きたまま切断している。顔も丸映しだ。キレの悪い包丁で首を切っていくが、最後骨がうまく切れないらしく、ナタで何度もたたいた挙げ句に、足で骨をへし折って首を切断している。そして、まだ血が滴れるそれを胸を張ってかかげるのだ。

何年か前にアフガニスタンの武器商人のところへ行ったときに、購入したアルカイダの戦争激励DVDである。
こういうものをアングラ世界にバラばいて、戦争への意思を駆り立てて、人を戦場に送るのである。たぶん、同じような子供の闘志に火をつけたり、成人の兵士に対して「子供でもこれぐらいのことをやっているんだ」と知らしめるためにつくったビデオなのだろう。
我が家には、こういう「裏DVD」が山ほどある。アフガンでもイラクでもどこでもそうなのだが、戦争をしている国やその周辺には、かならずこうしたものが売っているのだ。パレスチナだって、人が自爆テロを行うまでの24時間を追った「自爆テロビデオ」なるものが山ほどある。
日本の茶の間には絶対に流れない、あるはほとんど報道もされない、「戦争感化メディア」。人々は子供のころからこうした映像を見ながら育ち、やがて自分もやるようになるのだ。

よく少年兵の話をすると、「あれだけは、かわいそうで見ていられない。助けてあげたい」という。
しかし、それは戦争を知らない人の言葉だ。少年兵ほど恐ろしいものはない。なんせ、死というものを何なのかほとんどわかっておらずに人殺しをしているのだから。
取材をしていてよく思う。大人の兵士なら全然怖くない。向こうが麻薬をやっていたり、集団心理になって興奮していなければ、話は通じるし、向こうだって人を殺そうなんて思わない。命の重さを知っている大人なら、誰だってできることなら殺したくないし、そうした現場を見たくないという思いがあるのだ。
ところが、子供というのは違う。命の重さをわかってない。だから、本当の「殺人鬼」になってしまうのだ。常に麻薬に酔っていたり、集団心理で興奮しているような状態なのである。だから、蚊でも叩くように平気で引き金を引くのだ。
そのため、僕はどんな状況にあっても、絶対に少年兵にだけは近付かないようにしている。遠くに見かけたら、すぐに身を隠し、Uターンしてしまう。それが町のど真ん中であってもだ。それだけ怖い。

そういえば、昔、何かのドキュメンタリ番組で見た。
アフリカのどこかの少年兵たちが、麻薬の代わりに、銃弾の火薬を食べているのだ。僕は火薬を食べて酩酊するのかどうかわからない。中毒性があるのかもわからない。
ただ、映像の中の子供たちは、弾丸の火薬を食べ、千鳥足になりながら、カラシニコフを撃ちまくっていた。銃弾が飛び交う中を普通に歩いて銃を撃ち続けるのだ。死の恐怖が微塵もないのだろう。

世界にはこうした子供が20〜80万人ぐらいいるんだそうな。
僕は生涯でそのうち100人ぐらいを目撃したけど、たぶん、みんなもう死んでいるだろう。少年兵の「狂気」を知っているぶんだけ、少年兵が死んでも人間が死んだとは思えない。機関銃を持った亡霊が消えた、としか思えない。これまた、不思議なものである。

少年兵について知りたければ、以下の本をぜひ一読を。

子ども兵の戦争
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