「浮気は男の甲斐性だ」とか「不倫は文化だ」と言われる。
文字通りの<純愛>なんてかなかなか存在しないと思うが、実際はどうなんだろう?

生き物を調べて見ると、一夫一妻制のモノと、一夫多妻制のモノとは明らかな違いがあるのだそうだ。
わかりやすく、簡単な例を二つ紹介しよう。

その1 体の大きさ
動物は一般的に、一夫多妻の傾向がつよいほど、オスの体がメスよりはるかに大きくなる。また、角などの形態において、性的二型が大きくなる。
これは、オス同士がメスをめぐって戦いが激しくなるためである。
(一夫一妻の場合は、戦いがないので、身体的特徴が逆になる)

人間の場合、アウストラロピテクスの時は性的二型が大きかったが、ホモサピエンスなどになるにつれて性差は縮まってきているのだそうだ。
それを考えると、250万年前ぐらいを境に、一夫多妻から一夫一妻にゆっくりと移り変わり始めた可能性があるという。

その2 精巣の大きさ
一夫多妻の場合、精子間競争が起こるため、オスの精巣は大きくなる。
一方、一夫一妻の場合は、競争がないために、自然と精巣は小さくなる。

現在の人間の体重に対する相対的な精巣の大きさは、0.79。
現在の人間では、一夫多妻の生物ほど大きくはない者の、完璧な一夫一妻の生物よりは大きい。それを考えると、ある程度の精子間競争があったことがわかるらしい。

まぁ、他にもいくつかあるのだが、こうしたことを考え合わせると、次のことが導き出されるそうだ。

・人間はもともと一夫多妻制だったのではないか。

・人間は今もって複数の異性と交わることが前提で身体構造がつくられているのではないか。

と、すると、そもそも、人というのは<純愛>に適さない生き物だと言えるのかもしれない。
少なくとも、身体の構造だけを考えれば一生涯に一人のパートナーという想定にはなっていないようだ。

論より証拠。

20世紀前半までの世界における「配偶システム」を調べてみると、一夫一妻制より、一夫多妻制の方が圧倒的に多いことがわかるそうだ。
世界の社会を849にわけて、配偶システムを調べると、次のようになるらしい。

1位 一夫多妻 83%
2位 一夫一妻 16%
3位 一妻多夫 1%

一夫一妻制より、一夫多妻制の方が格段に多いのである。これもまた、現実なのだろう。
嗚呼、<純愛>よ、いずこへ。



追記
データは、『オスの戦略 メスの戦略』(長谷川眞理子)を参考にしました。面白いので読んでみて下さい。

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