講談社のG2の企画で「少女兵」、ミシマ社の企画で「戦争文化」。
立て続けに、戦争を舞台にしたテーマをやるので、最近よく戦争についての本を読む。

僕は助平だから、戦争のことを調べていても、ついつい性の方向が気になって、そっちの資料にも手を伸ばしてしまう。
高校生の時に、田村泰次郎の「肉体の門」という小説を読んで感動して以来、戦後のパンパンに興味があったので、これまた久しぶりに色々とパンパン関係の資料を読んでみた。

パンパンというと、戦後お金がなくて、体を売っていた貧しい戦争未亡人というイメージがある。
とくに、戦後押し寄せた米軍兵に春をひさぐ日本人女性はそういう印象が少なからずある。

戦後、主に米軍兵相手に体を売っていたのは、RAAというところで働く女性だった。
日本政府は米軍がやってくることで、日本の「淑女」たちがレイプ&弄ばれると本気で信じていた。そこで、米兵専用の売春施設をつくって、それを「防波堤」にして、日本の淑女たちの操を守ろうとしたのである。
その売春施設がRAA=特殊慰安施設協会なのだ。

当時、日本政府は、RAAで働く売春婦を公募した。
簡単に言ってしまえば、「米軍相手の売春婦になりたい女性大募集! 待遇は最高だよ!」とやったのである。
すると、日本各地から売春希望の女性たちがワイワイやってきた。で、採用され、めでたく売春婦となったのである。

実は、ここで面白い調査結果がある。
RAAで働く女性たちに「なぜあなたは、この仕事についたのですか」というアンケートを取ったのである。
すると、以下のような結果がでたそうな。

1位 外国人に対する好奇心に基づくもの(40パーセント)
2位 亨楽的職業に憧憬するもの(20パーセント)
3位 良好なる待遇宣伝に眩惑されたるもの(25パーセント)
4位 家計困難によるもの(5パーセント)
5位 その他(10パーセント)

米軍相手に売春する女性というと、暗いイメージがある。
しかし、実際は「外国人ってどんな人なんだろ」とか「売春婦に憧れていたから」とか「贅沢できそう」という動機が八割以上を占めているのである。貧しくてやむなくやったという女性はたった5パーセントにすぎないのだ。
実際、米軍と結婚して渡米した女性たちの証言集を読んでいたりすると、「戦後の日本人男性はひょろひょろで頼りない体をしていて、セックスアピールがなかった。それよりマッチョな米兵に男を感じた」なんていう話がそこかしこにでてくる。
さもありなん。

現代の売春について説教を垂れる知識人は、「かつては貧困によって売春をする女性が多かった。しかし、現代は遊び感覚でやっている。けしからんことだ」とのたまう。
だが、上記のようなアンケート結果を見る限り、昔も今も、なんにも変わっていない気がするのだが、いかがなものか?

僕は何についても「現代性」というのは馬鹿らしいキーワードだと思う。
ノンフィクションの仕事をしていると、頻繁にメディアの人から「このテーマの現代性は?」とか「今これを書く意義は?」などと聞かれる。
そのたびに、「こいつアタマ悪いな〜。週刊誌に染まってんじゃねえよ」とひそかに思っている。
上記の売春の動機を見れば、「現代性」というキーワードによって現代批判をすることの愚かさが少しでもわかるのではないだろうか?

僕は、結局いつの時代でも、どこの国でも、人間は人間、だと思っている。