最近、このブログで下の話ばかりしている。
ちょっと反省して、まじめな本を紹介することにしよう。

20代、30代の方と話をしていてよく聞かれるのが、「面白いノンフィクションってありますか」ということである。
ノンフィクションって、小説と違って、なかなか紹介されない。
論文のようにやたらと専門性のつよい本が多いうえに、つまらない本が多すぎる。なので、何を読んでいいかわからないというのが本音なのだろう。

一年ぐらい前に現代プレミアというノンフィクションを紹介するムック本が売れたが、こうした読者の希望と合致したのだと思う。
ただ、現代プレミアは、いかんせん、おじさん向けなので、そこで紹介された本を若い人が読んで面白いと思うかどうかは微妙な気がする。
僕も講談社のI氏にもらってペラペラめくってみたことがあるのだが、総合ベスト10に入っていた本を見て、おどろいた。おそらく、20代の人が読んでも、まったく「?」と思うものしか並んでいないのである。
(その代わり、たぶん40代、50代、60代以上の人からすれば「きたー」というラインナップだろう)
ノンフィクションというのは、非常に時代性のつよいものだ。
なので、どうしても世代差が出てしまうのだろう。そういう意味では、沢木耕太郎さんなんか世代差なく、支持を受けているので、やっぱりスゴイと思う。

まぁ、そんなこんなで、若い人向けに面白い本を少しずつ紹介してみたい。
とりあえず、「初めてのノンフィクション100」ぐらいの感じで不定期に書くので読んでみてほしい。
最初に紹介するのは、以下の二冊。

聖の青春 (講談社文庫)
聖の青春 (講談社文庫)
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将棋の子 (講談社文庫)
将棋の子 (講談社文庫)
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僕はあまり本や著者について論じたくない。
まぁ、とにかく読んでみろや、というスタンスである。なので、そのまま読んでもらいたい。

ただ、一言いえば、僕は面白いノンフィクションを書けるかどうかのポイントは、著者の側にどれだけのストーリーテリングの能力があるかどうかだと思う。
文章能力とか構成力などが必要なのは当然として、読者の興味をどんどん高めていくための「感動の装置」をどのように配列していけるかというのが一番のキーだ。それがあってはじめて、ドラマが浮き立ち、読者の心をゆさぶるのである。
ノンフィクションとフィクションは、現実を題材にするか、想像を題材にするかの違いで、基本的には面白い作品を作る時に必要な能力ってそこまで違わない。
だから、沢木耕太郎さんにしても、高山文彦さんにしても、抜群に筆の立つ書き手というのは小説も書きたがるし、実際面白いものを書けるのだろう。
そういえば、某月刊誌の編集長さんも、佐野眞一さんの書斎にいって一番驚いたのが、文学作品の多さだったと言ってたっけ。
この大崎善生さん、小説家としても大活躍しているが、ノンフィクションにおいてもたぐいまれな才能の持ち主だと思う。
あまりに感動するので嫉妬するのも忘れてしまうぐらいだ。
将棋のルールをまったく知らなくても、感動して泣ける本なので、是非読んでみてもらいたい。
ださい人間をださいように書き、かつ最後まで読ませて感動させる。
僕はこれができるかどうかが書き手のバロメーターの一つだと思っているのだが、上記作品は間違いなくその最高レベルに並ぶものだと思う。