ワールドカップになったら、とたんに南アフリカの黒人居住区が注目された。
今日の某新聞にも出ていたが、そこの出身であることが貧困の象徴とされているのだ。

だが、これはあまりにも短絡的すぎる。
たぶん、ちらっと南アフリカへ行った記者が、深く意味もわからずに書いているか、ビジュアル的にわかりやすいからそこだけを描いているのだろう。

南アフリカへ行くと、「観光名所」として黒人居住区がある。
バスでいける黒人居住区というようなキャッチコピーで、外国人がそこで暮らす貧しい人たちを見物するのだ。

ただ、この名前が示しているように、黒人居住区といは、広義でいえば黒人が住んでいる地域である。
南アフリカはアパルトヘイトでお金持ちの白人が町から黒人を追い出した。それで黒人は町の周りに居住区をつくって暮らさなければならなかった。それが今につづいているだけなのである。
もちろん、貧しい人たちも多く住んでいるが、そうじゃない人たちだって大勢暮らしている。
もし本当の意味で貧困というのであれば、黒人居住区の一部にある難民が集まる場所だったり、バラックが集まる場所だろう。
黒人居住区=最貧困というのは、あまりにも短絡的過ぎる。

南アフリカへ行けばすぐにわかるのだが、そもそもこの国の白人たちは日本人と同じぐらいお金をもっている。
いや、家なんかは日本のそれよりはるかに大きい。つまり、黒人居住区以外の場所に暮らす人たちは、「すごい金持ち」なのである。
そして、南アフリカにおける「標準」あるいは「標準以下」の暮らしをしている人は、ほとんど黒人居住区に住んでいる。

これは人数を見ればわかるだろう。

最大の都市ジョハネスバーグ(ヨハネスブルク)の総人口は320万人ほど。
このうち黒人が占めるのは7割ぐらいと言われているから、220万人ほどだろう。
では、この町における黒人居住区に暮らす人々の人数はどれぐらいなのか。
なんと推定200万人にも上るのである。
つまり、220万人のうち、200万人が黒人居住区で暮らしている計算になる。

何もわからない人はこの数をもって「これが南アフリカの貧困格差だ」という。
だが、必ずしもそうじゃない。
単に、南アフリカに暮らす「超お金持ち以外の黒人」はほとんどここに暮らしているのだ。
普通に職について、まずまずのお給料をもらっている人も黒人居住区に暮らしている。
昔から土地をもっていたり、そこで生まれ育ったりしていれば当然だろう。

通常、アフリカの町はタウン(町)→ダウンタウン(下町)→スラムというランク付けがある。
だが、南アフリカの場合はどちらかというと、タウンと高級住宅地が同じ場所にあり、それ以外がダウンタウンもスラムもすべてひっくるめて「黒人居住区」というイメージなのである。
これを考えた時、黒人居住区は、かならずしも「貧困の象徴」と言えるわけではないことがわかるだろう。
黒人居住区は「黒人の居住区」であって、「スラム」ではないのだ。むしろ、黒人居住区の中に、普通の町があり、そしてスラムもあるということなのだ。

なぜか、その点がごっちゃまぜになっているように思えてならないが、いかがなものだろうか?