昨年春に起きた以下の事件について、二週間ほど行われた公判が終わり、判決を待つまでとなりました。
後日『新潮45』に事件ルポをまとめますが、せっかくなので、こちらで公判によってわかったことを書き記してみます。
今回は事件の経緯を書きます。

(ニュース記事http://sysj.net/atugi/

事件の容疑者は、斎藤幸裕。
神奈川県内で、三人きょうだいの長男として生まれ育ちます。
小学六年生のとき、母親が統合失調症になり、重い症状が現れるようになります。
ろうそくを部屋にいくつもともして「悪魔が来る」などといってグルグルと回るなどいった異常行動です。
幸裕はそうした母親の姿を見て育ったことによって、自分は「嫌なことをすべて忘れる性格になった」と証言しています。
実際後の裁判で、幸裕は過去のことをまったくといっていいほどおぼえていないような発言を繰り返します。

ちなみに、幸裕のIQは69と低いですが、県立高校の普通科を卒業しています。
高校時代の趣味はバイクで、友人とツーリングなどへよく行ったそうです。
卒業後は自動車関係の専門学校へ進学するも、「遠い」という理由で数カ月で中退。その後、実家に暮らしながら運送会社で仕事をはじめます。(一度ペンキ屋で働いた後に、別の運送会社の正社員となる)

幸裕は20代前半の時、高校2年だったEという女性と知り合います。
前の恋人の友人であり、飲み会で知り合ってお互いほれて付き合うようになったようです。

Eはまもなく高校を中退。その後、一人暮らしをはじめた幸裕と同棲を開始します。
18歳ぐらいで同棲? と思うかもしれません。が、Eの親はかなり教育に熱心で、Eはそれに反抗して家族とぶつかって、家で同然で出てきたといいます。
Eはまもなく妊娠、やがて結婚の約束をします。

妊娠していたこともあって、両家の親からは結婚は認められることになりました。
ただ、Eの父親は家庭でうまく言っておらず、結婚の挨拶の時などで姿を現すことはありませんでした。
(Eの両親は後に離婚)

Eは長男を出産します。
この時生まれたのが、事件の犠牲者である理玖君です。

Eは産後一カ月ほど実家に滞在しました。
その後、二人は理玖君をつれて厚木市のアパートへ引っ越します。

結婚当初、幸裕が働いて生活費を稼ぎ、Eは専業主婦をしていました。
しかし、若い二人の生活はかなり未熟だったようで、Eは料理の方法すらわからなかったようです。

やがて理玖君が一歳になった頃から、Eは幸裕に内緒で仕事をするようになります。
早朝はコンビニでバイトをし、昼から深夜の零時までは厚木の風俗(ヘルス)で仕事をしていました。
ヘルスでありながら「本番行為」もあったとか。
コンビニの仕事の時は、理玖君をアパートに放置、昼から夜までは託児所にあずけていました。

●齋藤理玖君殺人事件は、単行本になりました



Eは風俗で稼いだお金を生活費にするわけではなく、ホストクラブへ行っていました。
また、幸裕が「浪費ぐせが激しかった」と言うように、バッグや服などをブランド物でかためていたそうです。

それでも、Eは裁判で「自分なりにちゃんと育ててた」と主張しています。
が、実態はネグレクトとしか思えないものでした。
たとえば、早朝Eがコンビニで働いている時、1、2歳の理玖君は誰もいないアパートに置き去りにされています。
友人が家に行くと使用済みコンドームなどが散乱するゴミだらけの部屋で一人泣きじゃくっていたといいます。親を求めていたのでしょう。

一方、幸裕は運送業で忙しく、明け方から夜まで仕事でした。
Eのムチャクチャな生活態度などが原因で、夫婦間のいざこざは絶えませんでした。
二人は顔を合わせばケンカをするような状態で、しばしば手を上げることもあったそうです。

幸裕は風俗で働いていることを知るなどして「時々ケンカになってお互いに手を上げることになった」と証言しています。
一方、Eの方は「一方的なDVがあって、結婚生活に耐えられなかった」「毎日レイプのようにセックスをさせられていた」と言っています。
どちらの話にも矛盾はあるのですが、いずれにせよ、二人の関係が破綻していたことは事実なのでしょう。

その後、児童相談所が理玖君を保護するのですが、とある失敗によって保護がうまく行かない状態が起きてしまいます。

次回はそこらへんからお話をつづけたいと思います。

《取材協力者募集》
この事件を、ルポとして『新潮45』に掲載。後に本にする予定です。
現在、事件の関係者への取材をしている最中です。Eや幸裕をご存知の方は、ぜひご連絡下さい。
特にEについては不明点が多いので少しでもお話をお聞かせいただければと思っています。
プライバシーはかならず守ることをお約束いたします。
連絡先
石井光太
メールアドレス kota_ishii@yahoo.co.jp





★★この事件を2016年8月に書籍にしました★★

絶賛発売中 『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』(新潮社、石井光太)