最近、アフリカを舞台にした映画がお盛んだ。
たぶんハリウッドスターがアフリカを舞台に慈善活動をしているためだろう。
それにしてもよくつくられる。「ホテル・ルワンダ」がヒットしたと思ったら、
「ホテル・ルワンダ」あたりから、立て続けにつくられてきたと思ったら、06年には「ツォツィ」という南アフリカの映画が外国語映画賞をとった。

「ツォツィ」は、南アフリカのストリートチルドレンを主人公にした映画だ。
家庭内暴力を受けてストリートチルドレンとなった主人公が、やがてギャング化していく。
悪友四人と組んで殺人強盗をしながらスラムで生きていくのである。
だが、ある日高級住宅地で車強盗をしたところ、たまたまその車に赤ん坊が乗っていたことから、主人公の運命が変わっていく。
主人公の男はその子を一人で育てていくなかで、愛を知り、家族に憧れ、そして自分の過去を否定していくのである。
そして、ついに裏社会から足を洗おうとしたとき、警察につかまってしまう……。

たぶん、この話をつくった人は、汚れた人の中にある「人としての温かさ」というものを、物語を通して磨きあげ、拡大化していきたかったんだろうな、と思った。

この種の物語をつくる時というのは、「怒り」が必要になってくる。
ストリートチルドレンがかわいそうなのは誰でもわかることだ。だけど、実際に目の前にしたら、99%の人は「くさい」「こわい」「怪しい」といった理由で目をそらす。
立派な建前だけは語るくせに、それ以上のことをしようとしない。決めつけて去っていく。あるいは、思考を停止して去っていく。
それを見ていると、「怒り」がわく。その「怒り」ゆえに、彼らを磨きあげて人間としての温かさを描きたいという衝動に駆られる。

少なくとも、僕の場合はそうだ。
「怒り」がまずあって、そこから描きたいという衝動に駆られる。
たぶん、その「怒り」が大きければ大きいほど、描きたいという衝動も大きくなっていくのだろうと思う。

この物語をつくった人もそうだったんだろうな、と勝手に思った。


ツォツィ プレミアム・エディション(2枚組)