石井光太 − 旅の物語、物語の旅 −

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河出書房新社のWebマガジン連載「飢餓浄土」がフリーペーパーになって書店に置かれます。
8Pのミニ・フリーペーパーですが、連載1回分が全文掲載。加えて、対談や編集者エッセーなどが掲載されています。
どうせフリーでWeb連載をやるなら、テキストをそのまま紙に起こして、書店で配ってしまおう。
そんな思いつきから、僕と編集の武田氏ではじめたものです。
毎月一回の発行。価格無料。
書店ならびに、それに準じる店舗をお持ちの方、「ウチに置いてもいいよ!」ということでしたら、是非ご連絡ください。
連絡先は以下までお願いします。

河出書房新社 「文藝」編集部
武田浩和
takeda@kawade.co.jp



……閑話休題……



先日、紀伊國屋本店で、山崎まゆみさんとトークセッションを行った。
その時、お客さんから質問を受け付けたのだが、時間の関係上答えられない質問が多々あった。
せっかく、質問表に書いて下さったのに、すみません。

というわけで、答えられなかった質問に、ここで答えることにする。



Q「旅=仕事」をしていることで、犠牲にしているものはありますか?

ありませんね。
僕の場合、人生がそのまま仕事になっています。なので、仕事という意識がないのです。
一般的には、膨大なものを犠牲にしているのかもしれませんが、僕自身はまったくその意識がありません。
もちろん、周りの人たちは「犠牲にされた」と嘆いているかもしれませんが。


Q「最後に一つだけしか作品がつくれません」となったら、どんな作品をつくりますか?

ショックで、何もつくらずに死ぬかもしれません(笑)。
あえて言えば、これまでやったことをふり返る仕事かな。これまで行った国、会った人のことを、もう一度ふり返りたい。
売れないでしょうけど、死ぬんですから売れなくたっていいでしょう。


Q石井さんにとっての日本人像はどういうものか?

やさしいですね。とても、やさしい。


Q一番危険な目にあったのは、どんな時ですか?

起った出来事より、「原稿を書けない」ことの方がずっと恐ろしい。
僕にとって書く、あるいはつくることがアイデンティティです。なので、それができなければアイデンティティを失ってしまう。
そんなことになるぐらいなら、どこへでも行くし、何でもやります。
だから、それで遭遇したことに対して「危険」と感じたことはない。あるいは、あっても感じてません。


Q取材対象者とは、取材後も接触したりするのですか?

あまりないですね。ほとんどまったくない。
次のステップへ行かなくてはならないので、立ち止まっている時間がないというのが現状です。
接触したいという気持ちはありますが。


Q取材をするのは何のためですか? なぜ人に取材したことを伝えるのが好きなのでしょうか?

つくる(書く)ことが、自分の存在価値だと思っています。
なので、自分の存在価値をつくるためにつくっているというのが正直なところです。
世界平和のためでもなければ、取材対象者のためでもない。あえていえば、僕自身のためです。


Q取材で「人間をえぐった」と確信を得られた時のことを教えてください。

自分が「えぐられた」と思った時、初めて相手を「えぐった」のだと思います。
自分の思想、価値観、予想すべてが裏切られた時、初めて相手を「えぐった」ことになるのだと思います。


Q女の人に効果のある殺し文句はありますか?

ありません。
人はそれぞれ違うし、状況もそれぞれ違いますからね。
そもそも、そんな文句がスラスラ出てくるような奴って、逆にもてない気がしますが。


Qストーリーを構築する時に大切にしていることは何ですか?

読者がどこで何を「面白い」と思うかどうかという点です。


Q癒しの時間はどんな時ですか?

次の仕事の案が浮かび、それを話し合っている時。
大成功の妄想だけが、どんどん膨らんでいく時ですね。ウキウキして眠れなくなります。


Qリスペクトしている人を教えてください。

こいつには、負けない。
そう思わなければ、何事もやっていけないでしょう。
それを公言するのは、年をとってからでいいのではないでしょうか。若いうちは、「そんな人なんていねえ」と粋がっているぐらいがカワイイものです。


Q電子書籍になると言われています。紙の本には、こだわりがあるのですか。

特にありません。
読者が面白いと思ってくれれば何でもいいです。


Qいままでボツになった原稿ってありますか?

修行時代の試作、自分でボツにして書き直しているものを含めれば、百科事典でもできるぐらいの量になるのではないでしょうか。
ただ、幸運なことにプロになってからは、「ボツ」というのはありませんね。
本の分量として多すぎると判断して割愛したものの、その原稿を別の雑誌でそれをそのまま発表したというのはありますが。


Q取材のノートをどのようにつくっていますか。

取材によって違いますね。
人を前にノートにメモをする時もあれば、ノートに書かずに後で覚えていることをメモすることもあります。
あるいは、トイレへ行くふりをしてトイレでメモをしたり、ケータイのメールを打つふりをしてメモすることもある。
取材というのは、様々な状況があるので、それに応じてやっています。


Q国内にいる時の仕事の進め方やかける時間を教えてください。

起きている時間は、ほぼすべて仕事しています。




と、こんな感じでしょうか?
6月5日のロフト@阿佐ヶ谷のイベントでも質問を受け付けますので、もしご不明な点がありましたら、そちらで。

河出書房新社のWebマガジン連載「飢餓浄土」がスタートしました。
途上国で語り継がれている様々な話から、人間の内面をえぐっていこうという企画です。
発展途上国の民族誌として、楽しんでいただければ幸いです。
毎週月曜日の更新。予定では、半年ほどつづけることになります。
閲覧は無料ですので、Webから、携帯から、そしてi-Padから、ぜひご覧ください。ご感想等もいただければ幸いです。

■タイトル
「飢餓浄土」

■概要
間引かれた奇形児の幽霊に悩まされるベトナムの貧困地、人肉を食った日本兵の亡霊を語り継ぐフィリピン山奥の村、人間の死体を食い散らかしたルワンダの犬……途上国の人々の内面をえぐり出す、残酷で、悲しく、せつない、途上国の地べたを往く民俗誌。

■更新
毎週月曜日

■URL
bnr_kigajoudo
http://mag.kawade.co.jp/kigajoudo/

なお、連載終了ののち、大幅に加筆訂正し(おそらく倍ぐらい話を付け加えます)、来年早々にでも単行本として河出書房新社から出版の予定です。
写真をたくさん載せる予定ですので、是非楽しみにしていてください。

5月から半年ほど、河出書房新社のWebマガジンで海外モノの連載を行います。
2年ほど前に、メールマガジンで一部連載をしたものを大幅に直し、書籍化するための企画です。
5月〜10月ぐらいまで連載し、来年の早い時期に単行本として、河出書房から出版することになります。
もちろん、Webマガジンなので、連載分に関しては、すべて無料で閲覧できます。

内容は、発展途上国における民俗誌ともいうべきものです。

ベトナムでは、枯れ葉剤によって生まれた奇形児を間引くことがありましたが、今なお、現地の人々はその殺された奇形児の幽霊に悩まされています。

エチオピアのストリートチルドレンの子供たちにはある「伝説」がつたわっており、彼らはそれを胸に抱いて生きています。それが彼らの生きる糧となっています。では、その「伝説」とは何でしょうか。

フィリピンの山奥では、いまだに人の肉を食った日本兵の亡霊の目撃談が語り継がれたり、マレーシアでは日本兵に虐殺された現地の人たちの亡霊が目撃されたりしています。
彼らはそれを通じて、どんな日本人像を抱いているのか。

ルワンダでは、虐殺の際、人間の死体は犬に食われたといいます。
現地の人たちの間では、その犬にまつわる様々な話が語られています。それはどういうものなのでしょうか。

イラク戦争の難民たちは、海外に逃げ出しています。中には、お金がなくて売春をしている人も大勢います。
そうした女性たちが身につけているあるお守りと願いがあります。それは何なのでしょう。

などなど。
あまりにも残酷で、あまりにも悲しく、あまりにもせつない話ばかりです。

この連載企画では、途上国の人々の内面をえぐりだし、形にしていきたいと思います。
他の誰ともまったく異なった目線で描く、世界の人々の民俗誌です。これによって、読者の方々の海外の事象に対する見方を180度変えていくような意気込みでやっていきます。
是非楽しみにしていてください。

開始は、一ヶ月後、5月のゴールデンウイーク明けぐらいからのスタートです。



追記
担当は「文藝」の編集者でもある武田君。氏いわく、
「Webマガジンでの、こんな連載はいまだかつてなかったので、まったくの異色モノでしょう。本としても、類書は絶対ありません」
がんばりまっせー。

追記
NHK出版のWebマガジンでも、6月から夏ぐらいからスタートで連載を始めます。
こちらも、追ってお知らせいたしますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

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